太陽光に代表される再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の導入により、一般の住宅でも小規模な太陽光発電を行うことができるモジュールが開発され、一時はバブルともよばれるような活況を呈しました。しかし、現在では太陽光による発電の需要は飽和状態を迎えつつあり、電力会社が新規の引き取りを拒否したり、買い取り単価が年々縮小されるなど、たいへん厳しい状況が続いています。一時期のように、競争力に劣る住宅用のような小規模な発電では、売電によって大きな収益を得るということは、あまり期待しないほうがよくなってきたといえるでしょう。しかし、それでは住宅用の太陽光発電というのはまったく意味がないのかといえば、そのようなことはありません。

自宅内で必要となる電力を自前でまかなうというコンセプトそのものは、昔も今も、なんら変わっていないからです。通常の生活のなかでも、電力会社から電気を受けて使用するという割合が減るため、電気代の大幅節約になることはもちろんのこと、台風や地震によって長期の停電となったときにも強みを発揮します。住宅用の太陽光発電の設備には、自立運転コンセントとよばれる専用のコンセントが付属しているのが通例であり、このコンセントに家電製品のプラグを挿入すれば、停電時であっても自前で発電した電力の供給が受けられるため、一般世帯のように電力に困窮しなくてすむといった、おおきなメリットがあります。これはたとえば東日本地震のような大規模な災害時にも実証済みのことです。